深秋のふるさとに蘇る歴史

福島県葛尾村で江戸時代に延鉄、生糸、木炭などの商取引を行い莫大な富を築き、長く栄華を極めたという 「葛尾大尽（かつらおだいじん）」の貴重な歴史を顕彰。 先人達の暮らしに思いを馳せ、当時を再現する形で能舞台を復活させ、能狂言の公演を開催した。

今回で第2回目となる葛尾村での能舞台は、反響を呼び満員で当日を迎えた。 山の中に建てられた能舞台で披露される「能」の演者による表現、山に響き渡る狂言。 肌に感じた経験がないものの、濃やかな会話や心象に引き込まれる舞台であった。 とても印象的だったのは、独特な声の出し方。 普通の歌声や、会話をするときの声とは違い、喉を潰して腹から出しているような声。 ご覧いただいた方のみが知る、幻想的で何にも代えることができない時間。

葛尾大臣屋敷跡と秋の紅葉が重なる風景は、当時を呼び起こすような素晴らしい絵となり、 そこに狂言が重なることで、ここでしか見ることができない心が癒されるイベントとなった。